カタン戦略計算機 交渉なしEV・確率エンジン

解いているもの: 交渉なしカタンの初期配置フェーズは隠れ情報のない有限の完全情報ゲームなので、後ろ向き帰納法で解けます。本ツールは初期配置ドラフトの部分ゲーム完全均衡勝率(自分が最初に10VPへ到達する確率)で評価して計算します(2人はα-βで厳密)。加えて正確な確率計算・EV・モンテカルロを備えます。ゲーム全体の厳密GTOが計算不能である理由も下部「計算モデル」に明記しています。

ランダム時の数字:
計算モデルの説明(式・前提・限界)

「GTOを解く」とはどこまで可能か

カタン全体の厳密な均衡解は計算不能です。1ターンごとにサイコロで最大11分岐、建設・発展カードの選択肢、隠れた山札が掛け合わさり、ゲーム木は10100を優に超えます(比較: 完全解析済みのチェッカーは約1020局面)。これは近似ではどうにもならない規模であり、「カタンのGTO」を厳密に解いたと主張するツールはすべて何らかの評価関数への置き換えを含みます。

一方で交渉なしカタンの初期配置フェーズは、隠れ情報のない有限の完全情報ゲームです(ゲーム本編で非公開になるのは購入後の発展カードのみで、交渉なしなら同時手番もほぼありません)。ゆえに配置の部分ゲームは後ろ向き帰納法(バックワードインダクション)で厳密に解けます。本ツールが「解く」のは次の部分です。

  • 初期配置ドラフト(GTO配置ソルバー): スネークドラフト(2人なら P1→P2→P2→P1)は有限の完全情報ゲームです。下記の勝率評価関数の下で、2人の場合はゼロ和ゲームとしてα-β探索で部分ゲーム完全均衡を厳密に計算します(置換表・手順並べ替え付き。途中局面でも厳密)。3〜4人は max^n をビーム幅つきで解き、時間予算内で幅を自動的に広げます(近似と明記)。なお生産も港もない頂点は候補から除外します(自己生産を放棄する純ブロック配置は非考慮。候補が極端に少ない盤面では全合法頂点に自動フォールバック)。
  • 確率計算: サイコロ分布・生産期待値・山札の超幾何分布は厳密値です。
  • 建設速度: 方策固定のモンテカルロ推定(2万試行)です。

ソルバーの評価関数(勝率 = 10VP一番乗りの確率)

探索が最大化するのは勝率です。各プレイヤーの10VP到達時刻を、平均T・標準偏差σの分布として扱い、 「誰が最初に到達するか」を計算します(2人は閉形式 Φ((T₂−T₁)/√(σ₁²+σ₂²))、3〜4人は数値積分)。 合計が1の定和ゲームなので、2人はゼロ和としてα-βで厳密に解けます。3〜4人は max^n をビーム幅つきで解き、 相手の到達時間も自分の勝率に効くためブロックの価値が自然に評価に入ります。 σは各ステージの所要時間 Δtᵢ から σ = √Σ(0.50·Δtᵢ)² として求めます(係数0.50は 本ツールのモンテカルロで実測した単発建設の変動係数 sd/mean の中央値。ステージ間はほぼ独立なので分散を加算)。 この分散モデルにより「劣勢なら分散の大きい配置のほうが勝ちやすい」といった判断も自然に反映されます。

10VP到達時間 T の計算(段階的レースモデル)

各プレイヤーの配置の価値は「10VPに到達する最小ターン数 T」で測ります。初期2軒(2VP)から+8VPへ至る固定順序のプランを3種用意し、最速のものを採用します。

  • 都市・発展型: 都市化×2 → 3軒目の入植(街道2+入植) → 3軒目を都市化 → 発展カード(騎士3枚+勝利点2枚が揃うまでの期待 ?)で最大騎士力+VP2。
  • 拡張型: 入植×3(各 街道2+入植) → 都市化×3 → 最長交易路(+街道2、計8本)。
  • バランス型: 都市化 → 入植 → 都市化 → 入植 → 都市化 → 発展カード(騎士3+VP1の期待 ?枚)。

T の計算は段階的流体モデルです: 毎ターン期待枚数 ピップ/36 を連続量として獲得し、余剰を銀行/港レートで交換。各段階の最小所要 Δt は Σ 余剰_r/レート_r ≥ Σ 不足_r(Δt について単調)を二分探索で解き、購入後の余りは次段階へ繰り越します。都市化するとその頂点の生産が実際に2倍になり、以後の段階が速くなります(複利効果を反映)。3軒目以降の新規入植地は実際に到達可能なスポットを使います: 自分の建物からの街道距離をBFSで求め、「生産量 ÷ 街道コスト」が最大の空き頂点を選び、その実距離ぶんの街道コストその頂点の実生産をプランに計上します(既に取られた頂点と距離ルール違反は除外。街道が他家の建物で分断される効果と、探索中の他家の仮置きとの競合は無視する近似)。2軒目の入植地の初期資源(隣接する砂漠以外の各タイルから1枚)も初期手札として算入し、2手連続で置くプレイヤーはどちらを2軒目にするかも最適化・探索されます。

発展カードは中身まで評価します: 山札25枚の構成に対し「騎士3枚かつ勝利点k枚が揃うまでの期待購入枚数」を多変量の負の超幾何分布として厳密に計算し(確率・山札タブに定数を表示)、その枚数分のコスト(羊麦鉱×枚数)をプランに計上します。単一種の場合は閉形式 j(N+1)/(K+1) に一致します。

この均衡が「厳密」なのは評価関数の内側の話です。残る限界: 街道の具体的な経路(他家の建物による分断は無視)、盗賊・騎士による妨害、最大騎士力・最長交易路の他家との競争、探索中の他家の仮置きと将来の拡張先の競合(確定済みの建物は考慮)。サイコロの分散は勝率モデルに取り込み済みですが、建設速度タブのモンテカルロでも直接確認できます。

表示上の注意: 「候補比較」は静的評価の上位候補+厳密PVの最善手を評価した一覧で、全合法手を並べたものではありません(最善手は必ず含まれます)。トレーニングであなたが一覧外の手を選んだ場合も、その手を個別に厳密評価して採点します。

基本確率

2個のサイコロで出目 n が出る確率は P(n) = (6 − |7 − n|) / 36。「ピップ」はその分子(36分率)で、6と8が5ピップ、2と12が1ピップです。

盤面生成

「ランダム盤面」は既定で公式の可変セットアップに従います: 地形タイルのみをシャッフルし、数字トークンは裏のアルファベット順の固定数列 5,2,6,3,8,10,9,12,11,4,8,10,9,4,5,6,3,11(A〜R)を、外周の任意の角から反時計回りに、砂漠を飛ばしてスパイラル配置します。つまり数字の並び自体は固定で、変わるのは地形と開始角だけです。回る向きは公式どおり反時計回りに固定で、ランダムに選ばれるのは地形と開始する角(6通り)です。砂漠の位置によって数字の割り当てもずれるため毎回異なる盤面になりますが、数列そのものは公式どおり固定なので、スパイラルに沿った数字の並び(6と8の間隔など)は毎回同じ規則になります。数字も含めて完全にばらけさせたい場合は「完全ランダム」(数字もシャッフル・6/8隣接回避つき)に切り替えてください。「盤面を組む(ドラッグ配置)」では、正確な枚数の地形タイル(木4土3羊4麦4鉱3砂1)と数字トークン18枚をトレイから盤面へドラッグして自由に組めます(個数は残数表示つきで厳密に管理。全部置き切ると反映可能。移動は盤上ドラッグ、取り外しは盤外へドラッグ)。なお「標準盤面」はルールブック記載の初心者用固定配置で、これはスパイラルとは別物です。数字は「数字」モードで手動編集もできます。

入植地候補スコア

スコア = (Σ_r ピップ_r × w_r × 逓減_r) × 多様性 + 港ボーナス

  • w_r = 戦略重み_r × 希少性_r。希少性は 盤面平均供給 ÷ その資源の総ピップ(0.5〜2.0に制限)。盤面に少ない資源の地点ほど高評価。
  • 逓減(2軒目以降): 6 / (6 + 自分の既存ピップ_r)。既に多く生産している資源の限界価値を下げ、2軒目の相補性を評価。
  • 多様性: 1 + 0.04 × (資源種類数 − 1)
  • 港: 3:1港は基礎スコア×8%、2:1港は 0.45 × その資源ピップ × w_r を加算(余剰の倍率交換の近似)。標準盤面・ランダム盤面には実物の枠と同じ9港(3:1×4・各資源2:1×1)を沿岸へ自動配置します(位置はほぼ等間隔の近似。港モードで自由に編集可能)。
  • 距離ルール(隣接頂点に建物があると建設不可)を満たす頂点のみ表示。

重み付けの係数(0.04, 8%, 0.45, 逓減定数6)は理論値ではなく、実戦則を透明化したヒューリスティックです。素のピップ合計も常に併記します。

手番の有利不利(先攻・後攻)

スネークドラフト(2人: 1→2→2→1、4人: 1→2→3→4→4→3→2→1)は手番の格差を抑える設計ですが、レースモデルで測ると差は残ります。ソルバータブの「手番の有利不利」で、現在の盤面での各手番の均衡到達Tを2〜4人分比較できます。参考値(標準初心者盤面・港プリセットあり):

  • 2人(厳密): 先手 52.5T vs 後手 53.4T — 先手が+0.9T有利
  • 3人(ビーム近似): 52.5 / 53.4 / 53.8T — 1番手有利、3番手が−1.3T。
  • 4人(ビーム近似・拡幅安定): 58.0 / 53.4 / 58.3 / 57.5T — この盤面では2番手が突出して有利(+4T以上)。良スポットと港の巡り合わせ次第で「何番手が最強か」は大きく変わる好例。

ただしこれは盤面依存です。良スポットの数・質・港との組合せ次第で後手有利にもなります(実際、ランダム盤面では2人で先手が−2.3T不利になる例も観測されます。後手は2連続ピックで最良の相補ペアを確保できるため)。一般論としてではなく、その都度この盤面で計算してください。

配置セオリー(均衡解200盤面からの理論化)

公式スパイラルのランダム盤面200枚で2人の厳密均衡を解き、選ばれた配置800点を統計化した「ソルバーが従う優先則」です(レースモデル前提の理論値。方法: 各盤面で部分ゲーム完全均衡を計算し、選択された頂点の特徴を集計)。

  • ① ピップ総量が土台。初手の53%は盤面最大ピップ地点、79%は上位3位以内(平均11.4ピップ)。+1ピップの限界価値は約1.5〜2.0T短縮に相当。
  • ② 資源の価値比率(+1ピップの限界価値、レンガ=1.00): 土 1.00 ・ 木 0.95 ・ 鉱 0.94 ・ 麦 0.84 ・ 羊 0.77。実際のピック傾向(盤面シェア比のリフト)も レンガ1.19 > 鉱石1.14 > 木材1.04 > 小麦0.97 > 羊毛0.74。盤面に3タイルしかない土・鉱の希少プレミアムが大きく、羊は明確にディスカウント。3人ではさらに 鉱1.20・土1.15 と希少側へ寄る。
  • ③ 残り半分は構成で決まる。最大ピップ地点を蹴る盤面が47%ある。ペア(2軒)で4資源以上カバーが90%(5資源28%)。木+土を両方確保73%、麦+鉱66%、麦あり93%。「初手は最強地点・2軒目で不足資源を埋める」が基本形。
  • ④ 数字は6/8を核に。ピックの80%が6か8に隣接。数字の価値はピップに厳密に比例(6・8=5 : 5・9=4 : 4・10=3 : 3・11=2 : 2・12=1)。同じ数字への集中は期待値では等価だが分散(7・盗賊)で不利 — 建設速度タブのモンテカルロで確認可能。
  • ⑤ 港の換算レート: 自分が3ピップ以上生産する資源の2:1港 ≒ 1.3〜1.7ピップ相当(2.6〜3.4T短縮)。ただし港頂点は内陸より平均4ピップ低いため、均衡が港を取るのは12.6%に留まる。「高ピップ×自分の特化資源と一致」のときだけ港が勝つ。
  • ⑥ 勝ち筋の採用率: 拡張型53% / 都市・発展型35% / バランス型12%。木土が強い盤面は拡張、麦鉱が強い盤面は都市化と、盤面の資源分布がプランを決める。
  • ⑦ 手番: ランダム盤面の平均では先手+0.52T・先手有利55.5%とほぼ互角(2人)。盤面によっては後手有利も普通にある。

EV式(暗算用・検証済み)

「資源の価値 × 数字の価値」を足すだけの線形式で、どこまで厳密解に迫れるかを検証しました。数字の価値は出目の確率に厳密比例するのでピップ(6・8=5 / 5・9=4 / 4・10=3 / 3・11=2 / 2・12=1)をそのまま使います。学習用100盤面で式を選び、別シードの独立な80盤面で検証した結果、最良だったのは:

EV = 木×1.0 + レンガ×1.0 + 羊×0.8 + 小麦×1.0 + 鉱石×1.0(各資源のピップに掛けて合計。= ピップ合計 − 0.2×羊ピップ)

  • 精度(独立検証80盤面): この式で初手を選ぶと、厳密解の最善手と55%一致、勝率の損失は平均3.65pp・中央値0.00pp。素のピップ合計だけだと48%一致・平均4.21ppなので、羊を2割引くだけで少し良くなります。
  • 結論①「ピップがほぼ全て」: 資源ごとの価値はほぼ等しく、差が出るのは羊だけでした。鉱石や小麦を重くする式(鉱1.2〜1.3など)も試しましたが、交差検証ではむしろ悪化します。資源の重みは本来「自分が既に持つ資源・相方候補・相手のブロック」に依存して動くため、固定係数にすると平均に引きずられて上位争いの識別を誤るからです。
  • 結論②「港と多様性は固定点数にできない」: 3:1港ボーナスや資源の種類数を足す式も試しましたが、独立検証では改善しませんでした(3:1港は+1.0でも+2.5でも結果が変わらず)。港の価値は自分の特化資源と噛み合ったときだけ跳ねる文脈依存の量だからです。
  • 限界: 残る損失(平均3.65pp、1〜2割の盤面で10pp超)は、2軒のペアの相補性・相手のブロック・プラン選択といった「1タイルずつの足し算では原理的に表せない」相互作用によるものです。正確な値が必要な場面ではGTO配置ソルバー(勝率)を使ってください。
  • 厳密なEVも併記: 表の「枚/ロール」は ピップ合計 ÷ 36、すなわちサイコロ1回あたりに期待できる資源枚数そのもの(近似なしの厳密値)です。

生産力

1ロールあたりの期待獲得 E[r] = Σ(隣接ヘクス) P(出目) × 建物係数(入植地=1、都市=2)。盗賊が乗ったヘクスは生産しません(トグルで考慮/無視を切替)。

建設速度(モンテカルロ)

現在の建物と手札から2万回試行。各ターン2d6を振り、7なら手札8枚以上で半分廃棄(目標コストへの余剰が大きい資源から捨てる)、それ以外は生産。毎ターン、銀行/港交換(不足数 ≦ Σ⌊余剰_r ÷ レート_r⌋ なら到達可能)を含めて目標コストに到達した最初のターンを記録します。前提: 生産設備は増えない・盗賊は現在位置に固定(既定ではそのヘクスは生産せず、「盗賊ブロック考慮」トグルで無視も可)・他家の妨害は無視・騎士/独占なし。

盗賊配置EV

ヘクス h に置いた場合の各プレイヤーの期待損失 = P(出目_h) × Σ その隣接建物係数(カード/ロール)。推奨は「相手の損失合計 − 3×自分の損失」を最大化する配置です。

発展カード

山札25枚(騎士14・勝利点5・街道建設2・収穫2・独占2)。既出枚数を入力すると、次の1枚の確率と、n枚引いた時に特定種が1枚以上含まれる確率 1 − C(残り−種, n) ÷ C(残り, n)(超幾何分布)を計算します。

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